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一服いかがですか。 どうぞ、ごゆっくり・・・


by nakazawasoju

淡路島の1ページ

昨年、高野山東京別院の「書と能と茶の湯」の会でご一緒した

淡路島潮音寺の南岳さんからはじまった淡路のご縁。

笑いを通り越して、怖くなるくらい、人と人とが

絡み合っていて・・・

新たなご縁というよりは、祖先から続くものの

復活なのかもしれない。

そして、彼も不思議なご縁。

陶芸家 大前 悟。

淡路の人になっていた。

1年前から淡路で窯を築き、古き良きものの姿を

未来へつなげるよう、歴史に導かれるように

手を動かし、釜の火と対話をしている。

まるで淡路島が海をつなげ、欠かせない役割だったのと

同じよう。

3月に訪れた際には、屋根上に登らせてもらった。

津波の話をしながら、穏やかな瀬戸内を眺めていた。

自然の摂理。

ボーっとその美しさにだんだんとアタマが空白になっていく。

陽が落ち始めた。

水平線に沈んでいく。

と思いきや、その前に夕陽の形が変わっていく。

島があるようだ。

そう、オリーブの島。

淡路島から小豆島に太陽が沈む光景だったようだ。

何だかありがたい気持ちでいっぱいになった。。。

彼の住まい、作風、そして、この自然。

うまく表現できないが、全てが重なり合い

それが彼の人柄とも重なり合う。

ぼくにとっては、今の淡路の1ページになっている。

http://www.oomaesatoru.com/



淡路島の1ページ_a0219480_1424199.jpg

# by nakazawasoju | 2011-07-23 01:45

パリの風を感じて・・・

パリの風を感じて・・・_a0219480_0212342.jpg
この日を迎えられることが、ぼくにとっても、ありがたく、特別な時間になりそう。。。

7月15日(金)に親友のパリ在住フルート奏者、佐藤真由とその仲間 アルテ・コンボが

日本ツアーの合間に、チャリティーコンサートを催す運びとなった。

3月11日パリで、僕から真由さんに言ったのかな。

日本にすごい地震がきて、津波も襲ったらしい。

そして、彼女のところにも、実家を見舞う連絡が相次いだ。

刻々と事態の深刻さがわかってくる中、

パリでこの瞬間、いったい何が出来るんだ・・・と

半分苛立ち、半分もどかしさで気持ちが乱れていた。

まず、彼女は日本人であり、そしてコンサートやリハーサルも

立て込んでなかったので、僕の茶のデモンストレーションなどの

手伝いをひたすらしてくれた。

そして、真由さんが友人などにも、別の茶会の企画をしてくれて

急遽、パリの音楽家たちへの会も催すことにもなった。

茶の用意しながら、また新しいニュースを耳にして

こんな時に茶なんてやっていていいの??

ライフラインもままならない状況なのに。

どうしていいかわからなかったが、

今できることは、いらして下さる客人にこころからの

おもてなし、日本の美を感じて頂くことだなと話合い

結果的にいい時間を、パリの方々と共有できた。

ただ、心配して下さる言葉が、かえって

状況を把握しきれてないがゆえに、苦しくもあったけど。。。

そして、原発。街には根拠のない噂も飛び交い・・・。

もう、いうまでもなく。

数日後、真由さんと野村萬斎さんのフランス人向けの

ワークショップにお邪魔させていただいた。

狂言という枠から入り、日本をどこまでも知ってみたいという空気が

生徒さんの舞台を見ていて、強く感じた。

その帰りに、こんな話をした。

文化・芸術がライフラインの一役を担うことはないし、

今、すぐに生きるために必要というものではないけど、

大げさだけど世界から人がみんないなくなったわけでないから、

また、こんな状況下でみんな疲れていて、だからこそ安らぎや、勇気を

未来への光を、さしあげられるアーティストでありたいよね、と。


そして、僕のスペインでの義捐金茶会の際にも

逆に、私は日本に帰国した際には、仲間のフランス人たちと

日本を勇気づける音楽を、届けたいと話してくれた。

この4カ月、多くの方が、様々な方法で、

自分たちのできることで具体的に動かれたのだと思う。

何かしらの弊害はあったとしても。

そして、あのパリで悶々とした歯がゆさから、

佐藤真由、またアルテコンボのメンバーが

東京で、気温35度、エアコン28度で体力を消耗している

我々に、パリの風を感じさせてくれる日が来た。



◇◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Pray for JAPAN
~アルテ・コンボ 東日本大震災 チャリティーコンサート~
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
パリを拠点に活動している木管五重奏団「アルテ・コンボ」が来日、
東日本大震災で被災された方々、そして復興に尽力する皆様の為に
心温まる音楽をお送りします。

入場は無料ですので、どうぞお気軽にお立ち寄りください。
募金箱を用意致しますので、皆様の温かい真心を
お寄せ戴けましたら幸いです。

皆様よりお寄せ戴いた募金は全額震災の支援活動に
充てさせて頂きます。

ご来場、お待ち申し上げております。
……………………………………………………………………………

■日程 2011年7月15日(金)

■時間 18:30開演(演奏時間約1時間)

■場所 株式会社パソナグループ 本部オフィス
      1Fエントランスステージ
      東京都千代田区大手町2-6-4 
      http://www.pasonagroup.co.jp/company/map_g.html
    
■入場無料
※当日、募金箱を設置させて戴きます。
皆様の温かいお気持ちをお待ちしております。

■演奏曲目(予定)
バッハ:G線上のアリア
ガーシュイン :パリのアメリカ人
久留智之: クラップ・スラップ・トレンブル
ベリオ:オーパス・ナンバー・ズー  他

■演奏者 「アルテ・コンボ」プロフィール 
2007年にグループ結成以来、木管五重奏オリジナル作品をはじめ、
映画音楽、創作、現代音楽…と幅広いジャンルに渡る演奏活動を行う。
ピアノ、弦楽四重奏、歌い手、語り手などとのコラボレーションも積極的に行っている。


Mayu Sato - 佐藤真由(フルート)
パリ国立高等音楽院にて、アラン・マリオン、ヴァンサン・リュカに師事。
これまでに、パリ管弦楽団、ベルギー国立管弦楽団、
東京フィルハーモニー、群馬交響楽団にエキストラ出演。
2005年7月より、フランス再渡仏パリ市内在住、
室内楽グループ、ダンサーとのコラボレーションなど活動中。

Baptiste Gibier -バチスト・ジビエ(オーボエ)
パリ国立高等音楽院にて、ダヴィッド・ワルターに師事し、
1999年に優秀賞を取得。
2001年フランス国財団(Fondation de France)一等賞を受賞。
現在、パリ国立オペラ、フランス国立管弦楽団、トゥールーズ・
キャピトル国立管弦楽団等のフランス主要オーケストラにて活動。

Annelise Clement -アンリズ・クレモン(クラリネット)
ジュネーブ高等音楽院(スイス)にて、トーマス・フレドリに師事し、
2003年ディプロムを取得。
現在、各オーケストラをはじめ、室内楽、即興、そして現代ジャズの
グループも持ち、また、劇団と共に、ミュージカル・スペクタクルに
定期的に出演し、幅広く活動中。

Cyril Normand -シリル・ノルマン(ホルン)
パリ国立高等音楽院にて、1993年から1995年の間に、ホルン科一等賞を、
また3つの室内楽において、それぞれ一等賞を取得。
現在、パリ国立オペラ、フランス国立管弦楽団、フランス国立リル管弦楽団、
イル・ド・フランス国立管弦楽団などに定期的に招かれ、活動を行っている。

Frank Sibold -フランク・シボルド(ファゴット)
パリ国立高等音楽院にて、ジベール・オーディン、マーク・ヴァロンに師事し、
2001年に満場一致の優秀賞を取得。
所属する室内楽グループ、エリクシル四重奏、10人による吹奏楽
アンサンブル・アヴァンティと共に、ヨーロッパ・アンサンブル
音楽コンクールにて入賞。アルテ・コンボにおいては、編曲も務める。 

……………………………………………………………………………


今回、時間もない中で、この企画を一緒に考えてくれた人がいる。
僕のパリからの一連の話も、興味深く聞いてくれて、
自分にとっての新たな義損のカタチにトライしたいと
申し出てくれた。
会はこれからだけど、ひとまずここまで現実性を持たせてくれて
感謝しています。

色んな方のチカラが混じり合って、構想3月11日パリで始まり、
この10日間で丸の内で企画から実現にたどりついた
チャリティーコンサートです。
決してパーフェクトのコンサートではないと思いますが、
パリの風を感じて頂き、そのお気持ちを、義捐金箱に
納めていただけたら幸いです。
# by nakazawasoju | 2011-07-04 00:25

お守り


5月21日、個人的に釜をかけた。

急遽、連休からスペインでのチャリティー茶会へ伺うことになり

道具組など何も考えないまま、出かけてしまった。

まずは、スペインで義捐金を集めさせて頂くので、そちらに集中すること

だけを心掛けたが、3日間の茶会を終えて帰りの飛行機で

このスペインでの出会いもあってか、自ずとこれからの茶の姿のようなものが

見えてきた。

今、一番大切なこと。

この東京で。

日々、悶々とした生活、節電や様々な不具合で思うようにいかない

もどかしさ、先の見えない不安感・・・


いまどきの茶の湯は、その敷居や、システム上の都合故にか

非日常的な空間ということであろうが、

これからの茶は、このような慌ただしい時間の流れ、生活の中で

誰にとっても自分を見つめなおす、他人との距離を測りなおす

非日常的な時間になることも大切だと感じる。



今度の茶会は、自分の周りの友人、知人に限られてしまうけど、

茶席に対する違う意味での不安感をいかに取り除き

謀殺された日々から自分の呼吸のリズムを

取り戻して頂く非日常的な時間になればと思った。

と言っても、たかが僕の茶会。

そんなたいそうなこともできないし、

あるがままにしか見せられない。

客を心地よくするのは亭主の力量。

そんなのない。

けれど、ないなりに、風のように共有する時間が流れ

少し心地よく感じたなあと思って頂けないのも

お呼びする方々にも失礼になってしまう。

そんな中での、お守り代わり。

席を見守っているような感覚が以前にあり、

それから何回となく待合に掛けさせていただいた軸。

今回は5月で節句というで、僕なりにも韻を踏んだように

逃げ道もできたかな、と。

曽祖父 2代目河原崎権十郎 弁慶隈取 

曽祖父については、母、3代目権十郎、この間永眠してしまった

山崎権一から少しずつ聞いただけ。

へえ、そんな人だったのかという感覚でしかないのだが

形見やこの面影などをそばに置いておくと

とても穏やかでいられる感がある。

と言うわけで、客人を巻き添えにして、待合にかけた。

みなさん、優しく、気を使っていただいて

時候に合わせていただいて。。。

あなたのストーリーが。。。

などと亭主思いのことをおっしゃって頂き、

こちらの方が、日々の疲れを癒されたようだった。

大勢の方に足を運んで頂いて、恐縮だったが、

主客の互いの存在が

一番のお守りになることに

気がつかされた。
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# by nakazawasoju | 2011-06-27 03:02
あけましておめでとう。。。

今年になってはじめて会ったフランス リール出身の友人。

座禅会、陶芸、書・・・日本在住歴も長いが、

日本への関心度、趣味も深い彼。

電話ではたまに話していたが、半年以上ぶりにあうと

自ずと、互いの状況説明、日々の考え方の変化などに

話の中心はいってしまう。

その会話の中に、彼らしい表現で、こちらの気持ちを

一気にひきつける言葉がでてきた。

震災、というより原発による帰国勧告の際の話。

彼の周りのフランス人は日本語ができる方は

日本のニュース、そう得意でない方は

ネットやいまどきの手段で、フランスないしアメリカからの

ニュースを情報源にしていたそうだ。

彼は、両方を常にチェックして、

冷静に事の成り行きを見てきたという。

それで、周りの友人の反応はどうだっったの?という

僕の問いかけに、日本のニュースなり、現状をしっかり把握

してないなあと思える人は、「やはり、帰るよ。

お前は本当に大丈夫なの?」という

やりとりになったね。

それが、帰る人、帰る人、同じような会話で。。。

彼に聞いてみた。

「みんなには、なんて答えたの?」と。

「新渡戸の武士道を読んだか?
 
 武士道すら過去の生き方かもしれないけど

 そのスピリットがあるからこの国は面白いんだと答えた。」

「色んな生き方、考え方があっていいわけだから

フランス人であるからもっと日本を知るために離れる必要はないと

考えている。」と淡々と答えてくれた。

日本をもっと知りたい・・・かあ。。。



北鎌倉東慶寺の上がったところにお住まいだった、鈴木大拙先生のところに

亡くなる少し前に、外国人が訪ねてきたんだ・・・という話を思い出した。


何かの取材記者が、同時に待たれていて会話を聞いていた。

外国人は恐らく禅、または大拙先生自身にご興味がおありになったのだと思う。

帰られた後に、大拙先生に記者が

「外国人に禅はわかるのでしょうかね?」と尋ねた。

大拙先生のお答えは、

「お前さんは、禅がわかるのか・・・」と。


んんん・・・。

素直な気持ちは、触れていると

美しいものだなと。。。


そして、本題へ。

互いに会話には出ないが、こころの中で

日本同様にフランスへの気持ちは熱い。

地方都市での日本文化デーを

茶会を中心に作れないかという依頼があるという話を

僕にしてくれた。

気にかけてくれて、感謝している。


茶だけでなく、長く続いてきたものが、スピドーが早すぎる社会の中で

あり方が急激に変化している。

まずは、ひとのあり方が。

本質を継承しながら、いまどきを生きる人に打ち解けるような

存在が、長く続いてきたものが持つ、ぬくもりや安らぎに

また、未来への好奇心に繋がる橋渡しになればと

個人的には思っている。

その橋の向こうがどこであっても

求められれば、なおさら橋をかけていきたい。

フランスは、パリは、またフランス人は、在住日本人含め

僕にも橋をかけてきてくれた。

その向こうには、実際に美しい橋があり。。。




フランスへ スペインから日本経由_a0219480_16522784.jpg

# by nakazawasoju | 2011-06-18 16:55

想い

あの日以来、色んな事がはかどらない現状の中で、

周りの方と同様、自分のできることを探した。

震災の時はパリにいたので、揺れのすごさ、パニックの東京は

この身で体験しなかったが、外から見ていて

そして、帰国して、日本がどういう国なのか

自分なりには垣間見た気がした。

そんな時に、スペインからメールがあり

このよなやりとりが始まった。

あちらで日本の現況を伝え、追悼するとともに

外国人が日本に再度いらしていただく日を願うべく

チャリティーで日本文化に親しんでもらう日を作ろう。

そして、この国の魅力を何か感じとって頂き、

その会3日間分の入場料、物販利益のすべてを

義捐金として日本へ送る、2段構えのことが

できたら・・・

という話が生まれた。

僕のようなつたないレベルで役に立つのかと、一瞬戸惑ったが

被災地だけでなく、「これからの日本を想う」という観点で

是非伺わせていただこうと、即決した。

普段お世話になっている、和菓子屋、お茶屋さん、友人

お弟子たちが、「是非自分たちの気持ちも連れて行って欲しい!」と

ありがたいことに、茶会で使うものを色々と寄贈してくれた。

「想いがひとつになる・・・」

何とも言えない暖かい感覚だった。



そして会期中、会場にいらして下さった方々、

ボランティアでのお手伝い、物販ブースをだしてくれたスペイン人

またフォローをして運営を助けてくれた現地日本人の「想い」と重なり合い

全てが繋がる。。。という感覚になった。


昨年、一昨年と5回ほど講義・茶会をさせていただいたスペイン アンダルシア。

今回はこの土地への「想い」も、僕にはうまれた。
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# by nakazawasoju | 2011-06-12 21:35