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一服いかがですか。 どうぞ、ごゆっくり・・・


by nakazawasoju

お守り


5月21日、個人的に釜をかけた。

急遽、連休からスペインでのチャリティー茶会へ伺うことになり

道具組など何も考えないまま、出かけてしまった。

まずは、スペインで義捐金を集めさせて頂くので、そちらに集中すること

だけを心掛けたが、3日間の茶会を終えて帰りの飛行機で

このスペインでの出会いもあってか、自ずとこれからの茶の姿のようなものが

見えてきた。

今、一番大切なこと。

この東京で。

日々、悶々とした生活、節電や様々な不具合で思うようにいかない

もどかしさ、先の見えない不安感・・・


いまどきの茶の湯は、その敷居や、システム上の都合故にか

非日常的な空間ということであろうが、

これからの茶は、このような慌ただしい時間の流れ、生活の中で

誰にとっても自分を見つめなおす、他人との距離を測りなおす

非日常的な時間になることも大切だと感じる。



今度の茶会は、自分の周りの友人、知人に限られてしまうけど、

茶席に対する違う意味での不安感をいかに取り除き

謀殺された日々から自分の呼吸のリズムを

取り戻して頂く非日常的な時間になればと思った。

と言っても、たかが僕の茶会。

そんなたいそうなこともできないし、

あるがままにしか見せられない。

客を心地よくするのは亭主の力量。

そんなのない。

けれど、ないなりに、風のように共有する時間が流れ

少し心地よく感じたなあと思って頂けないのも

お呼びする方々にも失礼になってしまう。

そんな中での、お守り代わり。

席を見守っているような感覚が以前にあり、

それから何回となく待合に掛けさせていただいた軸。

今回は5月で節句というで、僕なりにも韻を踏んだように

逃げ道もできたかな、と。

曽祖父 2代目河原崎権十郎 弁慶隈取 

曽祖父については、母、3代目権十郎、この間永眠してしまった

山崎権一から少しずつ聞いただけ。

へえ、そんな人だったのかという感覚でしかないのだが

形見やこの面影などをそばに置いておくと

とても穏やかでいられる感がある。

と言うわけで、客人を巻き添えにして、待合にかけた。

みなさん、優しく、気を使っていただいて

時候に合わせていただいて。。。

あなたのストーリーが。。。

などと亭主思いのことをおっしゃって頂き、

こちらの方が、日々の疲れを癒されたようだった。

大勢の方に足を運んで頂いて、恐縮だったが、

主客の互いの存在が

一番のお守りになることに

気がつかされた。
お守り_a0219480_2351968.jpg

by nakazawasoju | 2011-06-27 03:02